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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁
と、おかしげに、また、苦々しげに、呟いた。
金五郎は、単身、一足先に、宿を出た。般若の五郎のことを聞きに、東京駅前の交番を訪れるつもりである。誰にも話さなかった。
九段坂上の停留場まで行って、奇妙な街の雰囲気に気づいた。電車に乗るつもりだったのだが、なかなか、電車がやって来ない。客は密集している。群衆になって、騒然と、なにか、口々に喚いている。ただごとではない。
「なにか、あったのですか」と、訊いてみた。
「昨日から、市電がストライキをやってるんだよ」
中年のサラリー・マン風の男が、まるで、金五郎をがみつけるように答えた。きっと、出勤時間に遅れて、機嫌斜なのにちがいない。
新聞を見なかった金五郎は、そのときまで、そんな大事件を知らなかった。
「バスが来たぞ」
一口坂の方角から登って来た青バスに、群衆は殺到した。怒号と悲鳴とが起った。まるで、喧嘩だ。とても乗れる望みはない。
同じ方角から、やっと、電車が来た。押しのけられて、それにも、乗れなかった。長い時間待って来た二台目も、駄目だった。金五郎は、いらいらして来た。三台目に、揉み殺される思いで、どうにか乗ることが出来た。