輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
わかとのじょなんき
若殿女難記
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《若殿女難記(わかとのじょなんき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,611 字 · 45 頁
彼等は肩で息をしていた。「青松寺のほうへ逃げたと云うのですが、まったく人影がみえませんでした」
「いったいどうしてそんな事が起ったのだ」
「まるで通り魔と申す他はありません」増井の供侍が震えながら説明した。「お屋敷の土塀を出外れまして、あの大榎のところまでまいりました。すると木蔭から五人、覆面の者が現われて二人は私を羽交絞めにし、三人が御老職にとびかかると、当身でもくれたのでしょうか、ひとこえ呻く御老職をひっ担ぎました、私もこれは一大事と思い、必死の勇をふるって二人を投飛ばし、早速ここへ御注進に」
「二人を投飛ばす力があったら、注進にくる暇でなぜ追いかけなかった」
「さればそれが一期の不覚なれど」供侍はこう云って袂から一通の手紙を取出した。「その代りかような物を拾ってまいりました」
見せろと云って松田久弥が取る。封のしてない無記名の手紙である、中を披くと達筆な文字で「――お次は大目付、小林どの御要心のこと。大」と書いてあった。紋太夫が受取って、眉を顰めながら「はて、大とは」と首を傾げたとき、額田采女がふと振返って、「奥がばかに静かではないか」と云った。そういえばきゃあきゃあ騒ぎが聞えなくなってだいぶ時間が経つ、まだ酔い潰れるには早いだろうし、まさか、と思ったが紋太夫の顔色が変った。