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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

線上閱讀小山 清《落穂拾い・犬の生活(おちぼひろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 頁

青空文庫

家

聞いて、私もその追懐に同感できた。母は丸髷などのよく映る別嬪だったから。

母の生母、母を一時養女にしたという男の人、それから信州の祖母。写真の人の印象はみな私の心に懐かしさを呼んだ。

いま私は丁度母と同年になる。母が死んだのは丁度いまごろの、暑い最中であった。はっきりした月日を私は覚えていない。私は殆ど墓参りをしたことがない。最近私は女房をもらった。女房はいちど墓参りをしたいと云っているが、私は億劫にしている。草ぼうぼうに違いあるまいから、その辺の金物屋で鎌を買ってゆくことになるだろう。

家

小学生の頃、あるとき受持の先生が、生徒にめいめいの家の間数と畳敷とを書かせたことがあった。やはりなにかの参考資料にするためだったのだろう。皆んなが書いている途中で、ひとりの生徒が手をあげて、「先生。うちの二階は十畳なんです。」と上気した顔で云った。その子は豆腐屋の倅だった。

私の家は吉原遊廓のはずれにあった。家の裏手には木柵が囲らしてあって、台所口の前にあたる所に格子戸がとりつけてあった。格子戸には鈴がついていて、開閉するたびに音を立てた。格子戸の際に、洗濯する場所が設けてあった。