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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

線上閱讀小山 清《落穂拾い・犬の生活(おちぼひろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 頁

青空文庫

祖父は三業取締の役員もしていたようで、二六新報の計画した娼妓自由廃業の運動の際にも、また救世軍がその遊説の太鼓を廓内にまで持ち込んだ時にも、間に立って調停の役を勤めたとかいう話である。

私の子供の時分、家でいちばん威張っていたのはこの祖父であった。母屋から渡り廊下のついている離れに起臥していたが、そこから家内中に号令していた。お山の大将のようなものであった。祖母などはかげでは祖父のことを「うちの代官さま」と云っていた。家長は父であったが、父は目が見えなかったし、そのうえおとなしい人であったから、隠居である祖父の威勢が家内中を圧していたのである。父は義太夫の師匠をしていた。蔵の二階が父の稽古場になっていて、たいていそこに閉じ籠っていた。祖父は俗に云うこわもてのする人柄で、口喧しいわりには、出入りの者や女中なんかの気受けは悪くなかった。大根の気性がさっぱりしていたからであろう。なにかというとすぐ「馬鹿野郎。」と大喝一声した。祖父はたいへん毛深いたちで、とりわけてひげが濃かった。すこし剃刀を怠ると恐い顔になる。髭、髯、鬚、まるで銀の針金を植えつけたようで、なんのことはない神霊矢口渡の頓兵衛を見るようであった。