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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

線上閱讀小山 清《落穂拾い・犬の生活(おちぼひろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 頁

青空文庫

」というへんな文句を覚えてきて、家に帰ってから得意になって披露していたら、そのときもやはり「この馬鹿野郎。」と怒鳴られた。

それでも私は祖父のお気にいりであった。ひとつは父が不自由な躯であったせいであろうが、いわば私はお祖父さん子というようなものであった。湯にもよくいっしょに入った。私が桜林で遊んでいるようなときでも、「御隠居さんが呼んでいますよ。」と云って女中のなかやが迎えにくることがあった。祖父は熱い湯が好きであった。私が我慢できなくて出ようとすると、祖父はきまって「百勘定してから。」と云う。私は早口で百まで唱えると、躯中から湯気を立てて湯船から飛び出す。私は心得ていて、欲しいものがあると、よくこの入浴中に祖父にねだった。祖父はたいてい聞き入れてくれて、母にそう云うか、また自分で都合してくれた。祖父の左の二の腕に桃の実の小さい刺青のあったのを覚えている。骨董道楽で、離れの床の間には蒐集品がごたごた置いてあった。名の無い画描きの人の、その面倒を見てやったらしく、出入りするのがいた。その人の鞠躬如とした姿が私の記憶にも残っている。そういう祖父は器用なたちで、私のために木片に船を彫ったり、また竹細工に渋紙を張ったりして飛行機の模型などを造ってくれたりした。