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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
線上閱讀小山 清《落穂拾い・犬の生活(おちぼひろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 頁
「あいつも死んだね。」「いい気前の男だったがね。」「釣り好きだったね。」そんななんでもない会話にいわば浮世の味が感ぜられる。そんなとき私はなにか胸の閊えでも下りるような気がして、わけもなくこの世の中が有難味のあるものに思えてくるのである。お婆さんや犬を前にして、そのときも私は世の中に対する張合のようなものを感じた。私は云い出す折を得たような気がして、
「どんなもんでしょうか。出来れば飼ってやりたいと思っているんですが。」
「そうですね。」お婆さんは自分の胸に問うように、「せめてお産がすむまででもね。なに、それほど世話も焼けませんよ。」
私はほっとした。このように容易くお婆さんの許諾が得られようとは私は思っていなかった。
「この犬は二歳位でしょう。初産でしょうよ。」
とお婆さんは云った。その初産という言葉が私の心にしみた。
私は犬をメリーという名で呼ぶことにした、メリーは、お婆さんの云うように、たいした犬ではない。ありふれた雑種である。白と黒の斑で、白地に、雲の形をしたようなのや、島の形をしたような模様がついているのである。人間ならば、中肉中背とでも云うところだろうか。