輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
線上閱讀小山 清《落穂拾い・犬の生活(おちぼひろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 頁
は、いっぺんに気持が萎えてしまった。そのことが、いつも嘉吉の心の負担になっていたのである。
独りになってから嘉吉は、これまで殆ど病気をしたことはなかった。やはりそれだけ気を張っていたのかも知れない。こんど風邪にやられたのは、嘉吉に云わすれば、心の弱みにつけ込まれたというわけである。けれども寝ついてからは、かえって気持の方は楽になっていた。それは思いがけなく、他人の親切にふれることが出来たからである。
「おきぬさん。おれは病気になってよかったと思っているんだ。」
おきぬの世話を受けながら、嘉吉は心の中でその言葉をいくたびとなく反芻した。
おかみさんから立退きを迫られて、口から出まかせなことを云ったときにも、嘉吉としては、おかみさんを威すつもりは少しもなかった。それは弱い人間が自分の影に怯えてした行為のようなものであった。平静になってから嘉吉は、おかみさんから女独りと侮って浅間しい真似をしたように思われても仕方がないという気がして、どうにもかなわなかった。自分が随分卑しい人間のように思われた。うわべは素知らぬ顔をしていたが心の中では詫びをする機会があればと思っていたところへ、かえっておかみさんの方から和解の手をさしのべてくれた形であったのである。