輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

線上閱讀小山 清《落穂拾い・犬の生活(おちぼひろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 頁

青空文庫

大山さんって呼ぶとね、いつも、おう、って返事するの。」

「君のいい人だったの?」

「あら、ちがうわ。法律を勉強していたわ。いちど自転車のうしろに乗せてもらったら、ひっくりかえっちゃって。」

私にはその人がなにか稀な君子人のように思えた。

「僕に似ていたのかね?」

彼女は首を横にふったが、眼は笑っていた。きっとその大山大将は私に似ていたに違いない。

彼女のもとに行くようになって四月ばかり経った頃、私は勤め先きで不首尾のことがあって、ふいに東京を離れなければならなくなった。私は慌しく身の始末をつけて東京を立ち退いた。僻遠の土地で一年を送った。その町の派出所の若い巡査の顔を見て、私はなんだか見覚えがあると思った。そのうちに思い当った。彼女に似ていたのだ。彼女を男にしたような顔だった。眼の感じなどよく似ていたし、口もとは男の顔のうえに見ては流石にやさし過ぎた。私はその巡査を見かけるたびに、可笑しくなってしかたがなかった。一日、パン屋の軒端に佇んで買物をしている姿を見かけた折には、私は不意にはげしい帰郷の思いにそそられた。

私はまた東京に舞い戻ってきた。ある日浅草公園へ行って池の端の露店でミカン水を呑んだら、そこの親爺が私の掌に金を握らせた。