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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
線上閱讀小山 清《落穂拾い・犬の生活(おちぼひろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 頁
すみというのは彼女の戸籍名である。翌朝湖畔を散歩した。持って帰るというでもなく、花を見れば彼女は手折った。洋品やで彼女は足袋を買い履きかえた。土産物をいろいろ買った。彼女は極大のわさび漬の土産を手に取って、「これ、お店の方にどうかしら?」と私の顔を見た。理科の参考にでもなるような野生植物の栞を求めたので、そんなものをどうするのだと云ったら、「しづちゃんにあげるの。」と云った。その言葉が、一滴の水のように、私の心の中に波紋をひろげた。私はそのときそれ以上を訊ねなかったが、楼主の娘に女学生でもいたのかも知れない。帰りが急がれたので、華厳の滝は見ずにしまった。私たちはゆきは電車で行ったが、かえりは彼女が提案して汽車で帰った。浅草へ寄って蕎麦を食べて、廓の入口まできて別れた。彼女は「いろいろ有難う御座いました。」と云って丁寧に頭を下げた。
四、五日過ぎて私は廓を配達している朋輩から意外な事実を知らされた。彼女は身請されて廃業したという。朋輩が夕刊を配達してK楼にきたら、番頭さんが新聞の配達を中止してくれと云い、そのことを告げたのだという。朋輩は驚いている私を尻目にかけ、