輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

線上閱讀小山 清《落穂拾い・犬の生活(おちぼひろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 頁

青空文庫

」

「こちらへは、もうお出にならないのですか。」

「いいえ、いずれお帰りになります。いまのところ僕が留守番というわけです。」

以上の如く私はいまこの三鷹の草屋に独り起臥しているのであるが、ここには毎日のように訪客があり来信がある。云うまでもなく私にではなく、みんな太宰さんへのお客であり便りである。そのつど私は玄関に出て応対し、信書は青森へ向けて回送する。これは、いわば私の日課の如きものである。雑誌社の人、大学生、時に妙齢の女性が玄関に立つのだが、私はこのほど漸くこの日課に対して、ひどく倦怠を催すと共に、また事務の煩雑をも感じてきた。なんだか自分が郵便局の窓口にでも坐っているような気がしてきたのである。ただもう芸のない話で、一種やりきれぬ気持にさえなってきた。なんでえ、いつも太宰、太宰って、たまには小山先生は? 位のことを云ってもよさそうなものじゃないか。これは嫉妬であろうか? いわば無名が有名に対する嫉妬というものであるかも知れぬ。そしてこの私の嫉妬感は相手が女性である場合、全身を掻きむしりたくなるほどの衝動をさえ私に覚えさせたのである。太宰先生は青森と聞いて未練気もなく立ち去ってゆく女性の後姿を、憎々しい眼で見送る日が重なった一夜、私はある不逞の願望を胸に抱いた。