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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

線上閱讀小山 清《落穂拾い・犬の生活(おちぼひろい)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 239,741 字 · 486 頁

青空文庫

娘に別れてひとりで帰ってくる途中で、弟は地震に遭ったのであった。私達は弟の亡躯は見ないのであった。

弟は辰と云った。辰年の生れであった。私達は三人兄弟で、兄は新、私は清で、みな祖父がつけたものであった。弟が生れたのは、三月の節句の頃であった。雛人形が飾ってあったのを、私は覚えている。私は知らされて、布団の中にいる赤子を見に行った。

私は同じ部屋に、母の隣りに布団を敷いて寝ていた。母が弟の寝顔を見て、「可愛い顔をして。」と云ったのを覚えている。私達はよく弟を、自分達が飲んだ後の出殻のお乳を飲んでいると云っては、からかった。

兄と私は二つ違いで、そして私と弟とは五つ違いであった。兄と私は共に遊んだが、弟とは殆ど遊んだことはなかった。もう少し経てば、私達の仲間入りが出来たのだったのに。

弟はまだよく歩けない時分に、火鉢の角にぶつかって、どっちかの目蓋に傷をして、後になっても、その傷跡が消えずに残っていた。

細面の、やさしいおもざしであった。

弟の婆やがいた。下総の佐倉の者で、弟はこの婆やに連れられて、その田舎に行ったこともあった。婆やは弟を連れて、よくそちこちの葬式に出かけて行った。