輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

おちばのとなり

落葉の隣り

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《落葉の隣り(おちばのとなり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,877 字 · 57 頁

青空文庫

繁次は黙った。

「あとを聞かして」おつぎは気を変えるように云った、「あたし好きだわ、その唄」

繁次は首を振った、「これっきりしきゃ知らないんだ」

「そんなこと云わないで」

「本当に知らねえんだ」と繁次が云った、「ここまでやってみたけれど、自分でも可笑くなってよしちゃったんだ」

おつぎはじっと繁次を見ていて、「かなしい性分だね、あんたって人は」と溜息でもつくように云った。そして、そこまででいいからもういちど聞かせてくれ、とせがんだが、繁次はすっかりてれてしまい、この次にしようと断わった。

その次の次あたりだろう、やはり客の少ない晩に、繁次はなにげなくその唄をうたった。もちろん張った声ではない、無意識な、呟くような声であった。そのときもおつぎは向うに腰掛けていたが、こんどはなにも云わず、燗徳利を持ったまま眼をつむって、しんと聞いていた。うたい終ってから、おつぎのそのしんとした表情を見、自分がうたったことに気づいて、繁次は赤くなった。

「いい唄だよ」とおつぎは眼をあいて云った、「かなしくって、せつなくなるようだ、すっかりならっちまえばよかったのに」

「ああ」とおつぎはすぐに頭を振った、「そうじゃない、それだけのほうがいいかもしれない、あとの切れちまってるほうが情が残っていいかもしれないよ」