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あいみじんのきもの
藍微塵の衣服
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《藍微塵の衣服(あいみじんのきもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,624 字 · 4 頁
これは東京の芝区にあった話である。芝区の某町に質屋があって、そこの女房が五歳か六歳になる女の子を残して病死したので、所天は後妻を貰った。
後妻と云うのは、気質の従順な、何時も愉快そうな顔をしている女で、継子に対しても真の母親のような愛情を見せたので、継子も非常に懐いて、所天も安心することができた。
が、その後妻が、しばらくすると黙り込んで、あまり口数を利かないようになり、その女を包んでいた花の咲きそうな温な雰囲気が無くなって、冷たい強ばったものとなってしまった。
それに気の注いたのは、質屋の親類の老人であった。老人は種々の経験からこれは所天が他に気をうつす者があって、女房をかまってやらないから、血の道が悪くなったものだと思った。で、老人はある日、後妻を己の家へ呼んで聞いてみた。
「どうもこの比は、浮かない顔をしているが、どうしたかね」
「別にどうしたと云うこともありません」
「しかし、何かあるだろう、どうもお前さんは、この比浮かない顔をしている」
「別に何もないんですよ」
「あるだろう、無いことはない、私の考えでは、彼がお前さんをかまわないと思うが、そうじゃないかね」