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やぶのうぐいす
藪の鶯
三宅 花圃
線上閱讀三宅 花圃《藪の鶯(やぶのうぐいす)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 31,356 字 · 65 頁
第七回
いいはやされて今さらに。よしなきことをいいけりと。咄の絶ゆる折しもあれ。
カチカチカチ。オヤお昼飯の柝でしょう。サア行きましょう。(かけだす音)バタバタバタ
第七回
二人曳きの車は朝夕に出入りて。風月堂の菓子折。肴籠などもて来たる書生体のもの車夫など。門前にひきもきらず。これは篠原子爵の邸なれど。このほどより主はよほどの重体にて。某とよばるるドクトルも小首をかたむくるほどなれば。家中の混雑一方ならず。このごろ養子勤が帰朝以来。「こう忙がしくってはたまらん」など。取次ぎの書生の苦情もかしまし。今日しも少しよきようなれば。と上下ともに心安うおぼえて。いつしかにおさんの笑い声も耳だつほどとなりぬ。
山中はいつものごとく御看病と称えて。なにか浜子のへやにてしきりに咄しさい中なり。勤は帰朝以来何か感ずるところありて。懊悩として心楽しまず。机に向えばただただ神経の作用のみはげしくなりて。ますます思い乱るる妄想をやるにところなし。散歩は至極適当の療治法なりと思えど。養父の病気中には傍の思わくもあれば。ほしいままに外に出づべくもあらず。さるほどに浜子の部屋または勝手などに折々聞ゆる笑い声も。