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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
線上閱讀夢野 久作《近世快人伝(きんせいかいじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 79,469 字 · 157 頁
翁はニコニコと笑って疎髯を撫でた。
「まあそう、急いで逐い出さんでもええ。喰う物が無くなったらどこかへ行くじゃろ」
今一つノンセンス。翁と同郷の福岡に的野半助という愉快な代議士君が居た。(別人とも聞いているが)この代議士君……頭山先生は人物が出来とるから禅学をやったらキット成功する……というので翁を掴まえ、禅学を説き立てた。翁は黙ってウンウンとうなずきながら聞いていたが、とうとうこの愉快な代議士君に引っぱり出されて鎌倉の円覚寺に釈宗演和尚を訪う事になった。
釈宗演和尚は人も知る禅風練達の英僧、且つ雄弁家で的野代議士の崇拝の的であった。さるほどに宗演老師は天下の豪傑頭山翁の来訪を喜んで、禅学に就いて弁ずる事良久。徐ろに翁に問うて曰く、
「あんたは前にも禅学を志された事がありますかな」
翁曰く、
「ウム。在る。しかし素人じゃ」
「ハハア。誰に就いて御修業なされましたかな」
翁傍に小さくなっている背広服の的野代議士をかえりみて、
「ナニ。コイツに習うただけじゃ」
釈宗演和尚唖然。
ツイこの間新聞を賑わした法政大学の騒動の時、教授の一人である山崎楽堂氏が喜多文子五段の紹介か何かで単身、頭山翁を渋谷の自宅に訪問した。