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きんせいかいじんでん
近世快人伝
夢野 久作
線上閱讀夢野 久作《近世快人伝(きんせいかいじんでん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 79,469 字 · 157 頁
「容れ物をば出しなさい」
翁はやはりだまって襟元を寛げた。ここへ入れよという風に、うつむいて見せた。そうして主人が驚いて見ているうちに、氷よりも冷たい蒟蒻の山を懐中に掴み込んで、悠々と家へ帰った。
頭山翁は終生をこの無造作と放胆振りでもって押通している。
「俺は無器用な奴じゃがのう。しかし、その無器用な御蔭で、天下の形勢の図星だけは見外さぬようになっとる」云々。
「しかしこの頃俺に書画、骨董や、刀剣の鑑定を持込んで来るには閉口しとる。一番わからん奴の処へ見せに来る訳じゃからの。ハハハハ」
グロの方ではコンナ傑作がある。
大阪に菊地なにがしという市長が居たことがある。仲々の遣手でシッカリ者という評判であったが、これに頭山先生が、何かの用を頼むべく会いに行った事がある。同伴者は先生の親友で、後の玄洋社長の進藤喜平太氏であったというが、市長官舎の応接室に通されて待てども待てども菊地市長が現われて来ない。天下の豪傑、頭山満が来たというので、才物の菊地市長尊大ぶって、羽根づくろいをするために待たせたものらしいという後人の下馬評である。
ちょうどその時に頭山先生は、腹の中でサナダ虫を湧かして、下剤を飲んでいたので、そいつが利いたと見えて待っているうちに尻の穴がムズムズして来た。