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じんるいのせいぞんきょうそう

進化と人生(上)

丘 浅次郎

線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(上)(じんるいのせいぞんきょうそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 82,343 字 · 164 頁

青空文庫

成田山に詣でる連中や太鼓をたたきお題目を唱えて練り歩く人たちが盛んにふえたら、世の中の風俗が立派になろうとはいかにも考えられぬ。知事が衣冠束帯して赤地金襴の覆いかけたる唐櫃を奉侍して神社に詣でるとか、烏帽子、直垂の伶人、綾錦の水干に下げ髪の童子、紫衣の法主が練り出し、万歳楽や延喜楽を奏するとかいうことは、昔の風俗を保存するとしてはよろしいかもしれぬが、これによって世道の敗頽を防ごうと企てるのはもはや今日の時世には適せぬことである。

「苦しい時の神頼み」という諺もあるとおり、何事でも種々の方法をつくしても効果の現われぬ場合には神仏に頼るようになりやすい。たとえば病人でもかの医者にも診てもらい、この病院へも入れたりしてもいちじるしく効のないときは、ついに加持や祈祷を頼むようになるが教育者が今ごろ急に思い立ったかのごとくに、神社仏閣をあがめるようになったのは、あるいは世道人心の敗頽に対して種々の救治策を試みて、いずれも効を奏せぬところからついに神仏でも信心したら少しはご利益があろうかと考えるにいたったかもしれぬ。もしさようなれば事情は大いに察すべきであるが、いまだ講究の余地があろうと思う。