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じんるいのせいぞんきょうそう

進化と人生(上)

丘 浅次郎

線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(上)(じんるいのせいぞんきょうそう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 82,343 字 · 164 頁

青空文庫

の行なわれておらぬものはなく、人道はただその中の一に過ぎぬのであるから、これのみを別に離して取り扱うべき理由は決してない。

以上述べたとおり団体競争をする動物では、その個体に必ず多少の利他同情の心が備わってあるが、かかる動物を並べてあれこれ相比較して見ると利他心の発達の度には種々の階級があって、個体間の利他心の進んでいるものほど団体の結合が強く、したがって団体としての利己心が発達している。団体内の各個体がいかに強くとも、同僚互いに相助ける心がなかったならば、協力一致せる敵団体の勢いにはとうていかなわず、たちまち負けてしまうゆえ、個体間の利他心はその団体の戦闘力を増進せしめる手段ともみなすべきもので、この点の進歩した団体ほど生存の競争に勝つ見込みが多い。かように考えてみると、利他心なるものは決してそれ自身に初めから存したものではなく、団体生活の進むに伴のうて利己心から漸々転化しきたった第二的性質で、個体を標準としてこそ他を利する心であるが、団体を標準として論ずれば、やはり利己心の一部分に過ぎぬのである。言いかえれば、団体動物における個体間の利他心は団体的利己心の内に向こうて顕われた形とみなすことができる。