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しぜんかいのきょぎ

進化と人生(下)

丘 浅次郎

線上閱讀丘 浅次郎《進化と人生(下)(しぜんかいのきょぎ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 55,568 字 · 109 頁

青空文庫

財産を有する動物の例を求めたならばほとんど際限はない。しかしながら普通に人の知らぬような動物の名を数多く並べ掲げるのは、単に読者の倦怠をうながすに過ぎぬゆえ、他の例をあげることは全く省略して、これよりは人間と他の動物との財産制度を比較してその異同の点を述べ、あわせてその得失、優劣を論じてみよう。

第一、私有財産を獲んとするため、相互の間にはげしき競争の起こるをまぬがれぬは、人間でも他の動物でも全く同様である。この点については人間と他の動物との間に毫も相違はない。人間が私有財産を獲んとして日夜だまし合い、たたき合い、ののしり合い、殺し合うていることは今日の世の中の常態で、誰も目前に見ている事実であるが、他の動物とても理屈は少しも違わぬ。たとえば一定量の人参のあるところへ猿が集まってきたとすれば、猿はおのおの自分の腹を充分に満たした上に、なお頬の嚢へもいっぱいに詰めこもうとするから、勢い人参の取り合いのためにはげしい争いが起こらざるをえない。世の中には、今日生存のために人々が競争するのは社会の制度が不完全なるゆえである。社会の制度を改良さえすれば、競争の必要がなくなるなどと唱えて、生存競争のない世の中を夢想している人もあるが、これは全く人間本来の性質を誤解したために起こる謬りで、もとより毫も根拠のない空論に