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どうせんかいじへん
銅銭会事変 短編
国枝 史郎
線上閱讀国枝 史郎《銅銭会事変 短編(どうせんかいじへん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 106,745 字 · 216 頁
ポンと備え付けの駕籠に乗った。
「急いでやれ! 行く先は谷中!」
深夜ゆえに掛け声はない。駕籠は一散に宙を飛んだ。やがて大岡家の表門へ着いた。
トントントンと門を叩いた。「ご門番衆、ご門番衆」四方を憚って小声で呼んだ。
「かかる深夜に何用でござる」門の内から声がした。
「曲淵甲斐守の使者でござる。ただし、私用、潜戸を開けられい」
で、潜戸がギーと開いた。それを潜って玄関へかかった。
「頼む。頼む」と二声呼んだ。
と、小間使いが現われた。
「これを」と書面を差し出した。
一旦小間使いは引っ込んだが、再び現われると慇懃にいった。「さ、お通り遊ばしませ」
十畳の部屋へ通された。間もなく現われたのは老人であった。
「白旗氏のご子息だそうで。弓之助殿と仰せられるかな。……書面の趣き承知致した。しかし談話では意を尽くさぬ。書物があるによってお持ちなされ」
懐中から写本を取り出した。
「愚老、研究、書き止め置いたもの、甲斐守殿へお見せくだされ。……さて次に弓之助殿、昨日は一葉茶屋で会いましたな」
「ご老人、それではご存知で?」
「さて、あの時の茶椀陣、この意味だけは本にはない。