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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十三)青い帯
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十三)青い帯(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,244 字 · 231 頁
「へッ、まず、そんなことで」
お千勢の家というのは、土地で一番繁昌している矢場で、娘のお千勢の外に、矢取女が三人もいる構えでしたが、近寄って見ると表戸を締めたまま、緊張した顔の人間があわただしく出たり入ったりしております。
「おや、洲崎の兄哥」
平次は早くも、土地の御用聞洲崎の金六を見付けました。
「お、銭形の」
中年男金六の顔は少し酸っぱくなります。
「何かあったのかい」
「なアに、ちょいとした殺しさ。――銭形の兄哥はどうして嗅ぎ付けたんだ。――鼻が良すぎるぜ」
金六の調子には少し反感の響きがあります。
「兄哥の前だが、深川の殺しが神田まで匂うような南風は吹かないよ。――八幡様へお詣りして、ちょいと矢場を覗いただけのことさ。殺しがありゃちょうど幸いだ、八の修業に兄哥の調べ振りでも見せてやってくれ」
平次はさり気なく事件に飛び込みました。
「今度のは、鎌鼬や自害じゃないぜ」
嫌味を言いながらも、金六は二人を現場に迎え入れる外はなかったのです。
その頃の結改場は、裕福な町人たちの楽しみ場で、矢取女に美しく若いのこそ置きましたが、決して淫らな場所ではなく、平次が盛んに働いている頃は、今日では想像されないほどの繁昌を見ていたのでした。