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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,230 字 · 280 頁

青空文庫

「そんな馬鹿なことがあるものか」

「ね、親分。あの娘は人なんか殺せる柄じゃないって、親分も言ったでしょう」

「言った。が、三輪の親分はそんなことじゃお秀を勘弁しないだろう。こいつは弱ったな、八」

「なんとかなりませんかね」

「下手人が家の中の女ということになればお秀の外にない、――余計なことを聴かせてしまったな」

平次もさすがに困ってしまいました。主人次郎右衛門や奉公人たちの立ち騒ぐ中を、三輪の万七とお神楽の清吉が、得々としてお秀を縛って行くのを、どうしても阻みようがなかったのです。その時後ろから、

「親分さん、まだ、家の中には女がいますよ」

「あ、驚いた。婆やさん、何を言うんだ」

不意に獅噛み付いたお谷婆さんを、振りもぎりもならず、平次は閉口しております。

「親分さん、あの女を殺したのは、この私ですよ。――お皆の畜生を殺したのは、私に違いありません。早く、早く縛って、お嬢さんを助けて下さい。あんな神様のようなお嬢さんが、虫一匹だって殺すものですか」

「何を言うんだ、婆やさん」

平次は半信半疑の心持で、お谷婆さんの取乱した姿を眺めました。

「さア大変、とうとう四人目の下手人だ」