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もん

門

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《門(もん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 頁

青空文庫

あったが、その話が今明らかに記憶の焼点に浮んで出た。その時宗助はこれはならんと思った。けれどもはたして刃物を用いて、肩の肉を突いていいものやら、悪いものやら、決しかねた。

御米はいつになく逆上せて、耳まで赤くしていた。頭が熱いかと聞くと苦しそうに熱いと答えた。宗助は大きな声を出して清に氷嚢へ冷たい水を入れて来いと命じた。氷嚢があいにく無かったので、清は朝の通り金盥に手拭を浸けて持って来た。清が頭を冷やしているうち、宗助はやはり精いっぱい肩を抑えていた。時々少しはいいかと聞いても、御米は微かに苦しいと答えるだけであった。宗助は全く心細くなった。思い切って、自分で馳け出して医者を迎に行こうとしたが、後が心配で一足も表へ出る気にはなれなかった。

「清、御前急いで通りへ行って、氷嚢を買って医者を呼んで来い。まだ早いから起きてるだろう」

清はすぐ立って茶の間の時計を見て、

「九時十五分でございます」と云いながら、それなり勝手口へ回って、ごそごそ下駄を探しているところへ、旨い具合に外から小六が帰って来た。例の通り兄には挨拶もしないで、自分の部屋へ這入ろうとするのを、宗助はおい小六と烈しく呼び止めた。