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もん

門

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《門(もん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 頁

青空文庫

と云って医者は帰った。小六はすぐその後を追って出て行った。

小六が薬取に行った間に、御米は

「もう何時」と云いながら、枕元の宗助を見上げた。宵とは違って頬から血が退いて、洋灯に照らされた所が、ことに蒼白く映った。宗助は黒い毛の乱れたせいだろうと思って、わざわざ鬢の毛を掻き上げてやった。そうして、

「少しはいいだろう」と聞いた。

「ええよっぽど楽になったわ」と御米はいつもの通り微笑を洩らした。御米は大抵苦しい場合でも、宗助に微笑を見せる事を忘れなかった。茶の間では、清が突伏したまま鼾をかいていた。

「清を寝かしてやって下さい」と御米が宗助に頼んだ。

小六が薬取りから帰って来て、医者の云いつけ通り服薬を済ましたのは、もうかれこれ十二時近くであった。それから二十分と経たないうちに、病人はすやすや寝入った。

「好い塩梅だ」と宗助が御米の顔を見ながら云った。小六もしばらく嫂の様子を見守っていたが、

「もう大丈夫でしょう」と答えた。二人は氷嚢を額からおろした。

やがて小六は自分の部屋へ這入る。宗助は御米の傍へ床を延べていつものごとく寝た。五六時間の後冬の夜は錐のような霜を挟さんで、からりと明け渡った。