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ゆきをふらすはなし
雪を降らす話
中谷 宇吉郎
線上閱讀中谷 宇吉郎《雪を降らす話(ゆきをふらすはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,295 字 · 3 頁
雪国に育った私たちには、お正月に雪がないと、どうもお正月らしい気がしない。吹雪で障子がばたばたいうようでも困るが、炬燵にはいって、硝子戸越しに、庭の松の木にこんもりと雪がつもっているのを眺めて、蜜柑でもたべながら、寝正月というのは、大変いいものである。もっともこれは日本の話で、私たちの理想というのは、この程度のことである。しかしアメリカならば、そんなことを理想とはしないだろう。雪がほしかったら、雪を降らすことを考えるであろう。
実際のところ、アメリカでは、一昨年の秋頃から、人間の力で雪を降らすことを研究している。そしてそれはかなりの程度まで成功している。目的は、クリスマスツリーに雪をかぶらすのではないが、とにかく面白い話である。
雪というのは、上空の零下約十度以下の寒い所で、水蒸気が水の状態をとおらず直接に凍って出来るものである。それには、水蒸気がたくさんあることと、凍りつく時の芯になるものがあることが必要である。冬の空はたいてい曇っていて、水蒸気はかなりたくさんあるが、それだけでは、雪は降らない。曇っているのは、雲があることで、雲というものは直径百分の数ミリという水滴である。