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おもかげ
面影
小川 未明
線上閱讀小川 未明《面影(おもかげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 4,048 字 · 8 頁
三
三
この春のことであった。北国のある町を歩いていると立琴のようなものを鳴らして乞食が通るのを見た。その男の容貌がいかにも「日まわり」の一章に読だ乞食と似ている。何となく悲しく、鳴らしている立琴の音を聞きつつ、空想に耽っているとその男の姿は遠くなって見えなくなった。……ああ、彼も漂浪人かと思うと、つい熱き涙が目の中に湧くのであった。
ハーン先生の文は、この琴の音の人をひく力のようにどこか哀れな寂しい、細い澄んだ響きを伝えていた。――何となく沈痛! 何となく悲哀! の響きがある。
人生には悽惨の気が浸透している。春花、秋月、山あり、水あり、紅、紫と綺羅やかに複雑に目も文に飾り立てているけれど、帰する処沈痛悲哀の調べが附纏うて離れぬ。酔うたる人は醒むる時の来るが如く、楽める者、驕れるもの、悦べるもの、浮かるるもの早晩傷み、嘆き、悔い憂うる時の来ることを免れない。
誰か青春の美酒に酔うては歌わざらん。誰か凋落の秋に遭うては酸鼻せざらん。人生酔うては歌い、醒めては泣く、就中余は孤愁極りなき、漂浪人の胸中に思い到る毎に堪えがたき哀れを感じて、無限の同情を捧ぐるのである。