輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
おんがくかいのめいしん
音楽と生活 兼常清佐随筆集
兼常 清佐
線上閱讀兼常 清佐《音楽と生活 兼常清佐随筆集(おんがくかいのめいしん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 29,475 字 · 61 頁
久野女史をいたむ
二年前久野女史が始めてベルリンに来た時私はその最初の下宿の世話をした。そして私がベルリンを去るまで半年余りの間幾度か女史に会った。すべて昔の思い出は物悲しい、特にこの不幸な楽人の思い出は誠に私の心を痛ましめる。
よほどの語学の素養と外国生活の予備知識とがない限り、たれも外国に来ればまず初めの数カ月はぼんやりして仕事が手に着かぬ。私は正にその時期の久野女史を見た。当時の女史の心はまだ日本での成功の酔からさめていなかった。そして更に「世界のピアニスト」を夢見ていた。例えば一九二三年九月十七日にフリードマンがショパンのe短調のコンツェルトを弾いた時、女史は会場で、自分も此処でこの曲を弾きたい! と言った。
また女史の名を聞いたフップェルト会社が、その自働ピアノのために一曲女史に弾いてもらいたいと望んだ事があった。その時は私はわざわざ女史を訪ねて、少なくもその演奏を延期するように忠告した。しかし女史は余り喜ばなかった。私は女史の第一の仕事はまず師匠について正確にピアノの弾き方を勉強する事であると思った。
女史はベルリンでもニホンでのように演奏のため、新しい曲を師匠にもつかずに独りで練習しようとした。