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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇(いずこへ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 119,879 字 · 242 頁

青空文庫

廃屋は各階毎に寝室があり、寝室にはバスルームがつき、要するにヘルマン氏は、その日の気分によって、何階かで下界の海を眺めて酒をのみ、酔いつぶれて、バスにつかって、寝てしまう万全の構えがととのえられているわけだ。女なんか目もくれなかったというから、私はとても及ばぬ。これには私も、ブッタマゲた。

矢田津世子は加藤英倫の友達であった。私は東京へ帰ってきた。加藤英倫も東京へ来た。たぶん彼の夏休みではなかったのか。私には、もはや時日も季節も分らない。とにかく、私と英倫とほかに誰かとウヰンザアで飲んでいた。そのとき、矢田津世子が男の人と連れだって、ウヰンザアへやってきた。英倫が紹介した。それから二、三日後、英倫と矢田津世子が連れだって私の家へ遊びにきた。それが私達の知り合った始まりであった。

★

さて、私は愈々語らなければならなくなってきた。私は何を語り、何を隠すべきであろうか。私は、なぜ、語らなければならないのか。

私は戦争中に自伝めく回想を年代記的に書きだした。戦争中は「二十一」というのを一つ書いただけで、発表する雑誌もなくなってしまったのだが、私がこの年代記を書きだした眼目は二十七、それから三十であった。