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まほうにんぎょう

魔法人形/サーカスの怪人

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《魔法人形/サーカスの怪人(まほうにんぎょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 148,224 字 · 297 頁

青空文庫

それよりも、もっとへんなのは、腹話術師が車に近づいてきたとき、自動車のうしろの荷物を入れる場合、これも大カバンと同じなまえで、トランクというのですが、そのトランクのふたが、二センチほど持ちあげられて、そこから二つの目が、じっと、そとをのぞいていたことです。自動車のトランクの中に、なにものかが、しのびこんでいるのでしょうか。

腹話術師は、それともしらず、運転手にさしずをして、西へ西へと走らせました。

やがて京浜国道に出て、横浜をとおりすぎるころには、もうすっかり日がくれて、あたりは、まっ暗になっていました。

それから、また、車は西へ西へと走ります。あたりが、だんだんさびしくなり、山みちにさしかかってきました。ぐるぐるまわった、登り坂です。どうやら、大山の入口に、さしかかったようすです。

笠原さんの家を出てから、三時間もたったころ、やっと、自動車がとまりました。うっそうと木のしげった山の中です。いったい、腹話術師は、こんなところへきて、なにをするつもりなのでしょう。

かれは、れいの大トランクをさげて、自動車をおりました。

「おい、きみ、懐中電灯を照らして、さきに歩きたまえ。