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かいじんじゅうまんかん
魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編
内田 魯庵
線上閱讀内田 魯庵《魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編(かいじんじゅうまんかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,671 字 · 55 頁
文明国には必ず智識ある高等遊民あり
遊民は如何なる国、何れの時代にもある。何所の国に行っても全国民が朝から晩まで稼いで居るものではない。けれども、国に遊民のあるは決して憂うるに足らぬことだ。即ち、これあるは其の国の余裕を示す所以で、勤勉な国民に富んで居るのは、見ように依ってはその国が貧乏だからである。遊民の多きを亡国の兆だなどゝ苦労するのは大きな間違いだ。文明の進んだ富める国には、必ず此の遊民がある。是れ太平の祥であると云って何も遊民を喜ぶのではない。あっても決して差支えないと言うのである。
其所で、遊民があるとして、無智で下等な遊民の方が好いか、智識ある高等の遊民の方が好いかと言えば云うまでもない高等遊民が好い、同じ貧乏人でも、無智で低級で下等な奴よりは、智識ある高等な貧乏人の方が好いのである。それで、何所の国にでも此の遊民はあるのだが、其の遊民に智識があると否とで、其の国の文明が別れる。智識ある高等遊民のあるのは其の国の文明として喜んで好い、遊民其の物を喜ぶのではないが、国が文明になれば遊民も亦智識が進み、文明になる。それは、国が文明に進むに伴れて教育の進歩した結果、当然来ることで、それを恐れて教育を加減するが如きは可笑い話である。