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かいじんじゅうまんかん
魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編
内田 魯庵
線上閱讀内田 魯庵《魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編(かいじんじゅうまんかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,671 字 · 55 頁
都会に生活して群集と伍し、直接時代に触れなければならぬ。然るに文人に強うるに依然清貧なる隠者生活を以てし文人をして死したる思想の木乃伊たらしめんとする如き世間の圧迫に対しては余り感知せざる如く、蝸牛の殻に安んじて小ニヒリズムや小ヘドニズムを歌って而して独り自ら高しとしておる。一部の人士は今の文人を危険視しているが、日本の文人の多くは、ニヒリスト然たる壁訴訟をしているに関わらず、意外なる楽天家である。
新旧思想の衝突という事を文人の多くは常に口にしておるが、新思想の本家本元たる文人自身は余り衝突しておらぬ。いつでも旧思想の圧迫に温和しく抑えられて服従しておる。文人は文人同志で新思想の蒟蒻屋問答や点頭き合いをしているだけで、社会に対して新思想を鼓吹した事も挑戦した事も無い。今日のような思想上の戦国時代に在っては文人は常に社会に対する戦闘者でなければならぬが、内輪同士では年寄の愚痴のような繰言を陳べてるが、外に対しては頭から戦意が無く沈黙しておる。
二十五年の歳月が聊かなりとも文人の社会的位置を進めたのは時代の進歩として喜ぶべきであるが、世界の二大戦役を終って一躍して一等国の仲間入りした日本としては文人の位置は猶お余りに憐れで無かろう乎。