輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁

青空文庫

「弦之丞様! ……」

と呼んでしまった。

そして、飛び離れて白ける男女を冷やかに見捨てながら、苦しそうに微笑をした。

あれ。そこへ来た女は?

どこかで見たような、とお米はすぐに考えついたが、妙なはめに立たされたまま、気まずい口をつぐんでいると、お綱は、わざとお米の方を見ないようにして、

「あの、弦之丞様」

と、涼しい目に、用事のある意味をふくませて、

「よろしかったら、ちょっと、お顔を貸して下さいな」

そのなれなれしさが、いかにも深い仲のあるように、一方の心へ映るのは是非がない。

弦之丞は未練なく、そのお米を後ろにして、

「お綱ではないか、何ぞにわかなことでも?」

と訊ねながら寄って行った。

「さっきお出かけになるとその後へ、新吉という人が見えました。あの、船宿の鯉屋に、私たちがいるのを知って」

「新吉と申すと? オ、四国屋の手代じゃな」

「急に積荷がまとまって、船の出る日取りがきまったからと、わざわざしらせに来てくれました」

「使いがなくとも明日の夜は、こちらから四国屋の寮へ行く約束になっているのに」

「どういう早耳か、阿州屋敷の者がうすうす感づいているらしいから、その前に来るのは見あわせてくれという話」