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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁
嫌な奴に身をまかせたり、嫌な所へ帰るのも、みんな、あの人のためと思えばこそ」
駕は、こんな考えを乗せて、廻船問屋の多い河岸ぶちを駈けていた。
四国屋の前へ着くと、お米は、阿波での顔見知りである、ここのお久良を思いだして、店の者に取次いで貰った。
「御寮人様なら、寮のほうにおいででございますから、そちらへお廻り下さいまし」
店の前で、荷造りをしていた者が、金鎚を指して、土蔵ならびの向うに見える黒塀を教えた。
宅助は、ふらりと、安治川屋敷へ帰ってきた。
屋敷の奥を覗いて見ると、三位卿を中心に、森啓之助、天堂、お十夜、周馬の五人が、ひどく厳めしい容態で、なにやらひそひそと密議をしている。
「いいあんばいに、お人払いの最中らしい。どれ、この間に少しお疲れを休めなくッちゃ……」
仲間部屋へもぐり込んで、牛のようにゴロリとなった宅助、天井の闇へ鼻の穴を向けながら、お米の頸の白さを描いた。
三位卿に呼びつけられて、その人を中心に、何やら額をあつめていた書院の席では、ようやく密議のけりがついたらしく、各して、足のしびれをさすりながら立ち上がった。
有村の若い声は、例の調子で、