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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁

青空文庫

「ちイッ……この野郎」

「御用だ……御ッ……御用」

と、組んず、ほぐれつ。

龍姿の松をすく月の斑に、ここを必死に、キラめき合う鑿と十手。

月光の下に、黒いふたつの体、ややしばらくというもの、転々と、上になり下になってよじれ合っている。

と。

下に組み伏せられたと見えた眼八、足業にかけて、相手の胴を万力のように締めつけ、源次が、

「うッ」

と、気を遠くしたのを見すまして、

「骨を折らしゃアがった」

と、起きかえって、側を離れてくると、その手と源次の間に、いつのまにかタランと、捕縄がつながれている。

源次はもう抵抗しなかった。肘で、やっと体を起こしながら、縛られている自分の手へ眼を落したままうつむいている。

「ばかな奴だ」

と、月に光っている足もとの鑿を遠くの方へ蹴とばして、眼八、捕縄の端を三尺ばかり垂らして持った。

「名うてな釘抜きだといい聞かせているのに、ムダなあがきをしやがって、ふざけた野郎だ。さッ、お白洲だぞ、世話をやかせずに、泥を吐かねえと、捕縄の端の鉛玉が横ッ面へ飛んで行くからそう思えッ」

と、凄味を加えた言葉つきで、右腕の袖をつまみあげた。

「――一昨日の晩、てめえが大黒宗理の所から持って帰った刀、一本は無銘の長い刀、一本は新藤五国光だ。