輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁

青空文庫

で自然と、手先のくせに同心を顎あつかいな物言いぷし、海部側も納まらない、ガヤガヤしばらくもめていた。

ところへ、捕手のひとりが飛んできた。

大勘の姿が、参詣道に見えたという。もうグズグズしてはいられなかった。

「おい、捕方」

と、仲を取って、助同心の岡村勘解由が、

「お前が暫時これを預かっておけ」

と、半死半生の縄つきを渡した。

渡された捕手は、源次を抱きこんで、女坂を駈け上がり、さっき、眼八が腰をすえたあたりの巨木へ、縄尻を巻いて、番に立った。

海部側も徳島側も、もうケチな仲間割れをいいあっているひまはない。

無言で、広い境内の物かげへ、思い思いに姿を散らかす……。

腕でこい! と眼八は、ふたたび前の木蔭へ返って、伽藍の正面につづく白い敷石を睨みながら、腹巻を固く締めた。

――その口には十手。

もう、人気は滅している。

時折、伽藍の近くから、夜籠りの遍路の鈴が、ゆるく、眠たげに……。

シーンとしてしまった。

月の位置もだいぶ変って、細やかな針葉樹の影は、大地へ蚊帳の目のようにゆれている。

石段の口から、一ツの影が上ってきた。

月に白い菅笠に、顔は暗く隠されているが、肩幅のひろい巨男、裾をとって、脚絆わらじ、道中差を落している。