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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁
そうして、しばらく口のうちで、経文のようなことを唱えていた」
「で、世阿弥、それをてめえは、いったいどこで見ていたのだ」
「――使いに出ると見せかけて、わしは天井裏に潜んでいた、甲賀流の忍法、塵も落しはしない筈だ。そこで息を殺していると、病人の指の間に小蛇の首みたいな形のものが、弱い灯明にもさんらんとしている。と七人の肉親の者たち、みんなシーンと後ずさりをし、顔を上げる者はなかった。ああいう時には原士という者も、みな怖ろしく森厳だ、儀礼みだれず古武士のよう、ことにその晩の七人は、川島郷の原士の中でも、また特別な密盟組らしい、切ッても切れない因縁の仲間だ」
「やめろ、どこまで聞いてもくだらねえ、もうそんな思い出話なんざア聞きたくもない」
「わしにも、少し謎が残っている、まあ今しばらく聞くがいい」
「止めろというのに、くどい奴だ! サ、殺しにかかるぞ」
「耳に飽きたらその時に、黙って、突くとも斬るともするがよい。世阿弥はここにかがまったきり、とても、逃げる体力はないのだから。――でお前の母親だ、その時、絶え絶えな息づかいで、お前に涙ぐましい意見をいったな、後生だと、わが子に手を合せて、改心を迫ったな。