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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁
徳島へついてみると、城下はすばらしく景気だっていた、出丸廓の竣工と、おびただしい買上げもので黄金が町へ降っている。
そして、城普請のできた祝いに、城下は五日の踊りがある騒ぎだった。
鳴門音頭、そこぬけ囃子。
一昨日、昨日、今日とつづいている城下の踊りは、夜半にかけても倦むいろなく、絃歌と仮装の踊りの陣が、幾組もいく組も、灯に彩られた徳島の町々を渦にまいて流れていた。
踊りの陣にまじる人は、武士と町人の階級なく、若い娘と後家の恥らいなく、老人も青年も、百姓も船夫も、流行病にかかったように、疲れるまで踊りぬく。
蜂須賀家の名祖蓬庵公以後、二、三代の頃から、国によろこびある時に、こういう習慣ができたという。
「これや、見ておく値打がある」
と、旅川周馬はお十夜をムリに誘って見物に出た。
ふたりは剣山から一緒に帰った竹屋三位卿の屋敷にいる。三位卿の屋敷といっても、めったにかれはそこに落ちついていないが、元槍組頭の住んだ別宅を阿波守から貰っていた。
その日も有村はいない。
城中に祝宴があるので出かけた。出丸廓落成の賜酒である。有村はまた、いい気持で鼓でも鳴らしているのであろう。