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おうごんをあびるおんな

黄金を浴びる女

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《黄金を浴びる女(おうごんをあびるおんな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,350 字 · 22 頁

青空文庫

「ちょいと待った、其処を開けるのは、一と通り話が済んでからにして貰おうか」

「だってもう四月だよ」

「四月だって五月だって、女を口説くのに開けっ放しと言う法は無い」

「本当に口説く積りかえ、権次さん」

「権次さんと来たね、俺はもう十ばかり若いと、口説き度くなるだろうよ」

「若くなくたって、顔の造作は変えられない」

「言ったね、お駒奴」

又脱線して了いました。

「冗談は宜い加減にして、早く用事を言ってお了い、店は金ちゃん一人で、困って居るじゃないか」

お駒はそれでも、話の本筋へ引戻しました。少し斜に坐ると、膝の間から紅いものがこぼれて、皮下脂肪の多い、滑らかな手足、――その真珠色の皮膚や、桜貝のような爪を見ただけでも、この女の恵まれた美しさが、全身に行亙って居るのに驚かされるばかりです。

「思い切って話そう、お駒さん、お前は言い交した、相沢宗三郎様と別れなきゃアならないんだぜ」

「えッ」

「そして、今の俺にはお主に当る、金座の後藤三右衛門の総領、三之丞様のところへ行って貰わなきゃアならないんだ」

「そんな馬鹿な事を、誰が一体私に言い付けるのだえ、生意気じゃないか、潮吹権次の癖に――」