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くろふねぜんご
黒船前後・志士と経済他十六篇
服部 之総
線上閱讀服部 之総《黒船前後・志士と経済他十六篇(くろふねぜんご)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 121,901 字 · 247 頁
た一つの特徴をもっていた。特徴というのはほかでもない。試衛館が、江戸にありながら、実質上は武州の多摩郡一帯の、身分からいって「農」を代表する、農村支配層の上に築かれていた点である。
それは手作もするが「家の子」も小作も持ち、一郷十郷に由緒を知られ、関八州が封建の世となってこの方数知れぬ武家支配者を迎送しながら、「封建制度」の根底的地位に座して微動もせず存続してきた特定社会層である。
同じ関八州でも渋沢栄一一門や高島嘉右衛門のように、また地方はちがうが前に見た清河八郎のように、この同じ社会層のなかから同時にブルジョア的要素をも代表するものが発生して、幕末の政治史経済史を多彩にいろどっている。農村富農から藍玉仲買業や酒屋や山林業者やが派生して、必然的な道筋に添うて初期資本家を形成しても、他面彼らが依然たる封建制根底者的富農の資格を喪っていないこと、それどころか、二つの資格は相互にからみあって、幕末維新史上の一つの特質を打ち出していること――これらについて多くいわぬとして、ここに、一方における近代的資格をほとんどまるで具えていないところの農村富農の一範疇が、文久非常時を契機として政治の舞台にせり出してきたとき、どんな役割をすべきか、したか。