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つづみくらべ
鼓くらべ
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《鼓くらべ(つづみくらべ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 8,577 字 · 18 頁
二
「はい、ちょうど五日まえでございましょうか、ふとお庭外を通りかかって『男舞』をうかがいましたが、それ以来ずっとお邪魔をしていたのでございます」
「あたし二三日まえから気付いていました。でもまるで違うことを考えていたのよ」
「津幡の能登屋がどうとか仰有っておいででしたが」
「もうそのことはいいの、それから庭の外なら構わないから、いつでも聴きにおいで」
老人は鄭重に礼を述べ、やはり左手をふところ手にしたまま静かに立去った。
二
明くる日も老人は来た。
それからその翌日も……お留伊は次第にその老人に親しさを感じはじめた。そして色々と話しあうようになった。老人は口数の寡い、どちらかというと話し下手であったが、それでも少しずつは身の上が分った。
老人は名もない絵師だと云った、そして僅かな絵の具と筆を持って、旅から旅を渡り歩く困難な生活を過して来たという。苦しかったこと、悲しく辛かったこと、お留伊には縁の遠い世間の、泪と溜息とに満ちた数々の話をしながら、けれど老人の声音にはいつも温雅な感じが溢れていた。……そしていつでも話の結びには斯う云った。
「そうです、わたくしはずいぶん世間を見て来ました。