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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Read 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 349,705 characters · 678 screens
金助は相変らず、アクの抜けないお追従を並べて、得意がっている。
「見るもの、聞くものが面白くないばかりか、何を見ても、聞いても、癪にさわることばっかりだから、今日は、ここへしけ込んだを幸い、貴様を呼び寄せて、横っつらをひっぱたいてやろうと思っているのだ」
「これは驚きやした!」
金助は頬をおさえて、やにわに飛び上るような恰好をし、
「気がくさくさするから、金助を呼び出して、うんとひっぱたいてやろうなんぞは、全く恐れ入ります、ひっぱたく方の御当人は、それでお気が晴れましても、ひっぱたかれる方の金助の身になってごろうじませ」
金助は、仰山な表情をして、痛そうに頬を押え、
「しかしまあ、殿様、金助如きが面でも、打ってお心が晴れるなら、たんとお打ちなさいまし、金助、殿のお為めとあらば、横っ面はおろか、命まで厭いは致しませぬ」
「じゃ、なぐるぞ」
「さあ、お打ち下さいまし」
「いいか」
「はい、殿のお為めとあらば、骨身を砕かれても厭うところではございませんが、それに致しましても、なるべく痛くないようにお打ちを願います、ヘボン先生に足を切らせると、痛くないように切って下さるそうでげすが、あの伝でひとつ……」