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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Read 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 349,705 characters · 678 screens
七
「えッ!」
泣きじゃくりながら応対していたピグミーは、この時、しゃくりの止まるほどの声で、
「あれはいけません」
「どうして」
「何枚あっても、ありゃみんな血がついていますから、一枚だって着られるのはありませんよ」
七
仰向けに釣台の上に裸で寝かされているイヤなおばさんは、別段に寒いとも言わないのに、ピグミーがしきりに節介を焼きたがる。
「それじゃ、どうしても飛騨の高山へ行って、あの小紋を取戻して来るよりほかはありません、僕が行って来ます」
「よけいなことをおしでない、あの着物はあの子に着せておいてやります、そうして、わたしのあとつぎにするつもりだよ」
「え、お雪ちゃんをおばさんの後嗣にですか」
「そうだとも、いまに見ていてごらん、あの子を立派な男たらしにしてみせてやるから」
「えっ、あのお雪ちゃんを、おばさんのような助平にしようというのですか」
ピグミーが飛び上るのを、
「気をつけて口をお利き、出放題を言うと承知しないよ」
「畏まりました、それでは高山へ行くのは見合せにするとしましてもですね、現在、そうして裸じゃいられませんね。といって、着物の工面はなし……ああ、いいことがある、あんまりいいことでもないけれど、背に腹は換えられませんや、こいつをお召しなさっちゃどうです、当座の凌ぎに、この弁信のやつを引っかけておいでなすっちゃあ