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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Read 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 349,705 characters · 678 screens
四十二
乗り気になれないばかりではない、七里ケッパイというような気がしてお銀様の話から、自分の座、そこら一面になみの花を撒いてやりたいほどなのを我慢して、
「そういうことでございますならば、よんどころございませんから、明後日ということにいたしましょう、明後日なら、キットよろしうございましょうね」
「はい、明後日あたりならば……」
「そんならぜひ、明後日にお立ちを願います」
お銀様の生返事が気に入らないけれど、お角さんは、明後日ということに念を押して、この宿を出て来ました。
四十二
お角さんのイヤがるとイヤがらないとに拘らず、その翌日には、城外土器野に於て、磔刑が執り行われるのです。
今日の磔刑のその当人は、先に七里の渡頭に於て捕われた味鋺の子鉄であることは、誰知らないものはありません。
だが、その子鉄とお銀様と何の関係がある、物好きにも程のあったものだと、お角さんの余憤が止まらないのも無理はありません。
絶えて久しい磔刑というものを見ようとして、沿道は人垣を築いたこと申すまでもないことです。その間を牢屋から引出されて刑場へ送られて行く子鉄は、大体に於て仕来りの通り、裸馬に乗せられて、前に捨札、役人と非人と人足が固めて、そうしていよいよ刑場まで着いて馬から引下ろされた時に、検視詰所の背後から、ちょこちょこと走り出た者があり