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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Read 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 213,575 characters · 424 screens
(二七・一一・二)
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以仁王と頼政の宇治川の敗れ。また、清盛の福原遷都の決行などで、ひとまず平家や都の方は筆を休め、伊豆に移って、頼朝の旗挙げが、ここ数回のテーマになる。
伊豆の挙兵は、もちろん頼朝が主題人物だが、政子という女性や、舅の北条時政など、彼のワキ役には、興味のふかい人間がいて、そのため、頼朝像は、よけいに引き立っているわけである。
頼朝が起つと、各地の源氏が、こぞり起ってくる。中での大物は、信濃の木曾義仲だが、短命に終っているため、義仲史料は極めて乏しい。しかし幸いに、寸閑を得、十月下旬、大略、義仲史蹟を歩いて来て、収穫も少なくなかった。
木曾義仲については、確実な史料といっては、ごく少ないが、口碑伝説のたぐいは、各地行く先々で蒐集された。
こんど歩いたコースは、中央線辰野駅をふり出しに天龍川流域、飯田から山越えで、木曾谷へ出、馬籠附近、福島、駒ヶ嶽山麓、あのあたりの往古木曾道中をやって、松本へ戻ったのである。
松本からは、島々を経て、安房峠を越え、飛騨高山を通って、例の大家族部落と、合掌づくりの屋根で名だかい白川村へ行った。