Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Read アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) by 渡辺 温 (わたなべおん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 129,168 characters · 267 screens
彼女は、未だうら若い寡婦さんで――尤も僕よりは一つ方姉さんでしたが――健康そうな肉体を持った相当美しい女であったので、少らず僕の心を囚えていたし(いや決してあなたを前にしてのろけるわけじゃありませんが、何しろ今も申し上げた通り、それは不仕合せだったのですからね)それに実際、また僕は他の皆の様に血の出る様な苦しい算段までして帰国する程の気力もなかったのだし……
で、そんなわけで、僕はそれから半年と云うものを上海で送りました。もとより、地道な働きなんか出来ようともする気のなかった僕であったので、そしてまた、そのフランス女は――マドレエヌと云うのです――彼女は可成りの額の金を蓄えていたので、僕は毎日々々飲んだり打ったりして、この都の怪しい世界ばかりをうろうろとほっつき廻っていました。それにはまた恰度よく(?)その当時宿に、マドレエヌの兄でショコラアって云う呼名を持ったのんだくれのマドロスが転がり込んでいて、彼はおそろしくのんだくれではあったけれども、性質はその呼名の如く非常にお人好しの愛すべき男なのであって、地理に暗い言葉の不自由な僕を、妹の情夫のやっぱりやくざ者であるジャップの僕を、毎日親切にさまざまの遊び場へ、地下室に大きなばくち場の開けている酒樓や、阿片窟や、それから美しい鶏たちの群がっている彼女らの巣窟