Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
アンドロギュノスのちすじ
アンドロギュノスの裔
渡辺 温
Read アンドロギュノスの裔 (アンドロギュノスのちすじ) by 渡辺 温 (わたなべおん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 129,168 characters · 267 screens
』
『いいわ。サンタモニカの晩御飯を御馳走して上げてよ。』
そこで、東京駅から銀座裏へ引っ返して温い西洋料理の食卓につきました。雄吉君は、食後にウイスキイを二三杯ねだって飲まして貰うと、俄かに勇気を出しました。
『実はね、先刻から訊こう/\と思っていたんだけど、此の頃エミちゃんの処で、誰か赤ちゃん生んだ人ない?』
と、雄吉君は赤い顔をテラテラさせながら、突然そんなことを云い出したものです。
『赤ちゃん? あたしでも生まなけりゃ、真逆、ブン大将が生む訳はないでしょう。莫迦なことを云うもんじゃなくってよ。』
『うん、僕もエミちゃんのお腹を見て、妙だと思ったんだけど――変だなあ、でも、まあいいや。』
『どうしてそんなこときくの?』
『……』雄吉君は、飛んでもないことを云い出して、ひどく困ったと云うような顔をしました。
『え? 誰かそんな噂でもしたの?』
『ううん……どうだっていいことなんだよ。』
『いいこたあないわ。はっきり仰有い。……云わないの? じゃあ、もう聞かないわ。』
『困ったなあ。実は一週間ばかり前に、文太郎さんと銀座で会って、一緒に富士屋でお茶を飲んでいたら、恰度其処へ来合せたお友達らしい人へ文太郎さんが、これは未だ内証なんだがね。