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じゅうはちじのおんがくよく

十八時の音楽浴

海野 十三

Read 十八時の音楽浴 (じゅうはちじのおんがくよく) by 海野 十三 (うんのじゅうざ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 103,941 characters · 210 screens

Aozora Bunko

あッはッはッ」

と、ペンは笑った。

「あの廃物電池は、きっとまた自分で解剖をしていたんだわ。いやらしい男ね」

バラはペッと唾をはいた。

そのとき廊下一帯は、紫の光線に染まった。

博士コハクは、むっくり頭を持ちあげた。

そして二人の学員に向い、

「そォら、音楽浴だ。両手をあげて――」

と注意を与えた。

三人が六本の手を高く上げたとき、地底からかすかに呻めくような音楽がきこえてきた。

「ちぇッ、いまいましい第39番のたましい泥棒め!」

ペンは胸のうちで口ぎたなくののしった。

第39番の国楽は、螺旋椅子をつたわって、次第々々に強さを増していった。博士はじッと空間を凝視している。女学員バラは瞑目して唇を痙攣させている。男学員ペンは上下の歯をバリバリ噛みあわせながら、額からはタラタラと脂汗を流していた。

国楽はだんだん激して、熱湯のように住民たちの脳底を蒸していった。紫色に染まった長廊下のあちらこちらでは、獣のような呻り声が発生し、壁体は大砲をうったときのようにピリピリと反響した。

紫の煉獄!

住民の脂汗と呻吟とを載せて、音楽浴は進行していった。そして三十分の時間がたった。