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しおばらたすけいちだいき
塩原多助一代記
三遊亭 円朝
Read 塩原多助一代記 (しおばらたすけいちだいき) by 三遊亭 円朝 (さんゆうていえんちょう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 138,733 characters · 274 screens
のが、浪人して後戸田様の家来になって居るとの事ゆえ、尋ねて往って頼んだら、受人ぐらいにはなって呉れるだろう、実のお母様やお父様はお達者でお出でなさるか、下新田へ養子に往ってから便りもしないが、何うなすったか逢いたい事と思って、筋違橋の戸田様の前へ来て、通用門へ掛ればいゝに、知りませんから表門へかゝり、お役人の居る所へズタ/\の姿をしてまいりまして、
多「はい、御免なせえ」
役「何処へ参るのだ、物貰いなら彼方へ行け彼方へ行け」
多「はい、少々物が承わりとうございます」
役「物が聞きたければお辻へ往け、何だ乞食みたような姿をして」
多「これから乞食になればなるんだが、未だ乞食にはなんねえ、アノ戸田様のお屋敷は此処でがんすかえ」
役「戸田様の屋敷は此方だ」
多「それでは十四年前に此方へ抱えられた、鹽原角右衞門という方がありやんすか」
役「なに鹽原、ハイ彼は十三年前にお国詰になって此のお屋敷には居らん」
多「お国は野州の宇都宮でがんすか」
役「前は宇都宮であつたが、松平主殿頭殿とお国換えになって、今では肥前の島原だ」
多「へえ、肥前の島原という所は遠うがんすか」
役「そうサ、島原までは三百一里半あるな」