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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Read 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) by 中里 介山 (なかざとかいざん) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 349,705 characters · 678 screens

Aozora Bunko

「なんだか少し怖いね」

事実、さしものいかもの揃いであるらしいこの座の一行も、弁信のことを考えますと、おぞけを振うらしい。

そうかといって、魑魅魍魎でないことの証拠には、お喋りこそするけれども、このお喋りには条理、いや、時とすると条理以上の何物かがあるように聞える――そこで、おぞけを振いながら、妖怪変化の類なりと断ずるわけにはゆかないのです。

そこで、一座が弁信なるものの、正体に全く無気味なもてあましを感じ出した時、中口佐吉が言いました、

「なあに、それほど驚くこともないですね、どうかすると、盲人にはあんなふうに勘の働くものがあるものですよ。仕立師の名人でね、晩年に失明しましたが、どこへ出るにも不自由のくせに、物差を取らせると、分厘までも違わずピタリと差す老人を拙者は知っていますがね」

「そう言われてみると、思い当ったことがあります、西鶴の中にありますよ、皆さんお読みですか、井原西鶴の書いた『諸国咄』という本の中に、不思議の盲人のことが書いてあるのを思い出しました」

「どんな話ですか」

「ちょうど、よい機会ですから、お話し申しましょう」

と言ったのは俳諧師の柳水宗匠です。