Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ことうのおに
孤島の鬼
江戸川 乱歩
Read 孤島の鬼 (ことうのおに) by 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 181,795 characters · 359 screens
老人はやっぱり、此間の窓から半身を出して、私の顔をジロジロ眺めながら、答えた。
そこで結局、下男は私を、その徳さんと云う老人に預けて帰ってしまったのだが、丈五郎が、謂わば彼の裏切者であるこの老人に私を托したのは、意外でもあり、薄気味悪くもあった。
とは云え、この老人が選ばれたことは、私にとって非常な好都合である。私は大略事の仔細を打あけて、老人の助力を乞うた。どうしても今暫く、この島に踏止まっていたいと云い張った。
老人は、先日と同じ筆法で、私の計画の無謀なことを説いたが、私があくまでも自説をまげぬので、遂に我を折って、私の乞いを容れてくれたばかりか、丈五郎をたばかる一つの名案をさえ持出した。
その名案というのは。
疑深い丈五郎のことだから、私がこのまま島に留まったのでは、承知する筈もなく、引いては私を預った老人が恨みを買うことになるから、兎も角一度本土まで舟を渡して見せなければならぬ。
それも、徳さんが一人で舟を漕いで行ったのでは、何の利目もないのだが、幸、徳さんの息子が私と年齢も、背恰好も似寄りだから、その息子に私の洋服を着せ、遠目には私に見える様に仕立てて、本土へ渡すことにしよう。